家事代行ビジネス、なぜ秘かにブーム?

2013年12月23日更新 view: 174 view

最近、高齢化世帯や単身世帯、共働き世帯の増加を受け、炊事・洗濯・掃除などの家事全般を代行してくれるサービスが人気だという。

野村総合研究所調査によると

2012年度の家事代行サービスの市場規模は1500億円前後にも及び、「将来は約8000億円規模の市場に成長するだろう」と予想している。同社のアンケート調査によると、「家事代行を使っている、または使ってみたい」という割合はアンケート回答者の約7割と高い数値となっており、このような人気の高まりを受け、さまざまな異業種の企業からの参入も相次いでいる。

ブームの理由

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残業女子にも人気
 厚生労働省による「毎月勤労統計調査-平成25年10月分結果速報」によると、勤労者の平均所定外労働時間は前年比4%以上の上昇という結果となり、残業はますます増加傾向にある。加えてマンダムのネット調査では、約7割の女性が定期的な残業をしているとの結果が出た。

 こうした流れを受けてか、家事代行サービスを手掛けるベアーズ(東京都中央区)には、労働時間が増えたいわゆる「残業女子」からの問い合わせが、昨年比で倍増しているという。

 同社サービスのシステムとしては、2時間7830円(税・交通費込)で掃除、料理、買い物、子供の送り迎えなど自由に組み合わせられる「デラックスプラン」が人気。同社の売り上げは前年比46%増と急伸したという。同社は、「女性のライフスタイルや価値観が変わってきた。自分じゃないといけないこと以外は外部に頼む方が増えてきている。つまり人生のプライオリティー、いわゆる価値ある時間を優先しているようです」と説明する。

 同社の言葉を裏付けるかのように、利用者からは

「残業続きだし、仕事関連の勉強もしたい。とても助かる」(29歳・OL)
「残業後に習い事や趣味などを楽しむ時間がほしい。そのために活用している」(36歳・医療関係者)

といった声が聞かれ、「女性を家事から解放して心の豊かさを提供したい」という同社の企業理念が、残業女子のニーズにうまく合致しているといえよう。

一部の家事に特化するサービスも
 こうした家事全般を代行するサービス以外でも、家事の一部に特化した洗濯代行サービスなども、今年に入り売り上げを急激に伸ばしているようだ。

 同サービスの先駆者であるアピッシュ(東京都渋谷区)が展開する「WASH&FOLD」は、洗濯からたたみまでを代行し、Tシャツが60枚入る標準サイズの専用ランドリーバッグに汚れた洗濯物を詰め放題で、1パック2,800円。自宅まで集荷・配達もしている。ワイシャツなどのクリーニングが頻繁に必要な単身サラリーマンやOLに特に人気となっており、同社はこの人気に「オープンから延べ10万人以上の方に利用していただきました。近年はさらに需要が増えていて好調です」と満足げだ。

 利用者からも「大きめの物の洗濯や、毎日たまる洗濯物に困っていたので助かってます」(30代・OL)、「仕事が忙しくて自分で洗濯する時間がないので、いつも利用しています」(40代・独身男性会社員)という声が聞かれた。

高品質を売りにする「家ゴトコンシェルジュ」
 家事全般から一部を対象とするものまでさまざまなサービスがある中、その家事の“クオリティ”を重視するサービスも生まれている。それが、大手人材派遣会社・パソナ(東京都千代田区)が始めた「家ゴトコンシェルジュ」である。


 あらゆる家事を高品質で提供するサービスで、中でも特徴的なのが「ハウスコンシェルジュ」と呼ばれるスタッフの質とその教育体制だ。医療関係・ホテル客室係・調理師といった家事関連に活かせる専門職種出身者が揃っており、何段階にも及ぶ研修体制もある。また問い合わせの段階から「サービスプランナー」という専門担当員が対応するという徹底ぶりだ。料金は意外にも1時間3000円台~と安価なこともあり、礼儀作法などにも厳しいとされるシニア層を中心に人気となっている。利用者からも「スタッフの教育が徹底されていて気持ちよい。また頼みたい」(60代・男性)、「とても丁寧でプロの仕事。安心して任せられる」(70代・夫婦)と好評のようだ。

家事を宅配?
 また、家事代行サービスが異業種とコラボレーションするなど、おもしろい動きも出てきた。

 カジタク(東京都中央区)が運営する「家事玄人(カジクラウド)」は、コジマなど大手家電量販店などの提携店のウェブサイトで、各種家事代行のサービスパックをチケット購入できるというシステム。

 ちなみにカジタクとは「家事を宅配する」という意味で、サービス種類は多岐にわたり豊富ゆえに、広い層から人気を集めている。同社は「今の時期は大掃除シーズンということもあり、普段のお手入れや自分では難しいレンジフードの掃除(12,600円)などが人気となっております」と語る。

 実際に同社サービスを利用した人たちからは、「定額チケット制で料金などが明確でわかりやすい」(20代女性・会社員)、「気軽にスーパーマーケットや量販店で購入できるのが楽」(40代・主婦)と好評だ。

 利用者からの好評は売り上げにも直結しているようで、「全国一律の価格設定も大変ご好評をいただいており、昨年に比べて6倍ものお客様にご利用いただいております」(同社)といい、同社は13年2月期決算の売上高が40億円となり、家事代行サービス業界のトップシェア争いに食い込んできている。

低価格サービスも登場
 そしてここにきて、前出の高品質を売りにする「家ゴトコンシェルジュ」とは逆に、30分1980円という低料金の家事代行サービスも登場した。リロエステート(東京都新宿区)が提供する「カイテキがかり」というプランである。東京23区内を中心に順次拡大しているといい、リビングの片付け、ベッドメイク、ごみ捨てが基本メニューとなっている。これに、トイレ掃除、炊飯など4種類のサービスから1つを加えられるそうだ。

 同社によると「単身赴任者をメインターゲットとしています」とのことで、利用者からも「自宅にいるように快適に過ごせるのが嬉しい」(30代・会社員)といった声が聞かれる。今後全国に展開していく予定とのことであり、認知度が上がるにつれ、ニーズが高まりだ。

家事代行サービス業界について

この同分野で売上高1位のニチイ学館(東京都千代田区)は、介護事業に付随する生活支援サービスとして参入。その信用でトップを保ち続けている。同2位のダスキン(大阪府吹田市)は掃除サービスが有名であり、そこから発展して家事全般を代行する「メリーメイド事業」を89年から開始し、フランチャイズ方式で全国に多数の拠点を置いている。これら2トップに大きく水をあけられているものの、同3位のミニメイド・サービス(東京都渋谷区)は83年に創業された日本初の家事代行サービス会社であり、当社はビルメンテナンス業を手掛けていたが、家事代行の分野に参入し、富裕層向けサービスが好評だ。同4位のサンリフォーム(愛知県稲沢市)は大手小売業ユニーのグループ会社で、事業の一部として「家事タスカル」を展開している。

結論

総務省統計局調べでは、ここ数年の家事代行サービス利用世帯の、同サービスへの平均支出額は1回1万5000円超、年間利用回数は平均10回となっている。10年から利用者は年々倍増というデータ結果もある。利用者が増加している背景としては、利用料金が安くなってきている点が大きな要因だろう。忙しい毎日の中、数千円支払うことで、家の中や洗濯物が片付き、自分の時間も取れるならば、利用したいという人が多いのも納得。家事をプロに任せるというのは「お金で自分の時間を買っている」ということなのだろう。

多忙な共働き世帯や単身世帯、そして高齢者世帯が増加する中、より便利になる家事代行サービスは今後も拡大が見込まれるといえよう。

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