事故原因で圧倒的に多いのはシカ。電車と野生動物の衝突事故に悩む鉄道会社。

2019年12月21日更新 view: 13 view

動物との衝突事故

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JR西日本の沿線で、電車と野生動物の衝突事故が増えている。滋賀県を含む京阪神近郊エリアと福知山支社管内では今秋、発生件数が前年を25%上回り、列車遅延をたびたび引き起こしている。事故原因で圧倒的に多いのはシカ。要因については、鉄分を補給するために線路をなめにくる生態や、どんぐり不作の影響などが挙がっているものの、はっきりしないのが実情だ。

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11月2日、JR湖西線和邇-蓬莱間で、金沢発大阪行きの特急サンダーバードがシカとみられる動物と接触した。この電車は、前夜に福井県内で発生した別の電車とイノシシの接触事故の影響で既に運行が遅れていたこともあり、大阪駅着は当初予定から約10時間半遅れとなった。
 これは、JR西日本の管内で起きた動物との衝突事故のほんの一例だ。同社近畿統括本部によると、アーバンネットワークと呼ばれる京阪神地域では今年9~11月、電車と動物の衝突事故が119件と前年同期に比べて33・7%増えた。北近畿エリアを管轄する福知山支社の管内でも、同期間に前年同期比23・3%増の328件に上った。

衝突する動物の大半を占めるのはニホンジカだ。まず、個体数そのものが増加している。狩猟者の減少などさまざまな要因で1990年代以降に急増し、環境省の調査による推定個体数は2017年度末に全国で244万頭と30年前の8倍に達した。

生存に必要な鉄分を線路のレールから摂取しているという「ミネラル補給説」

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建材や防護柵などを製造する日鉄建材(東京)は約10年前、鉄道会社がシカの侵入に悩まされていることを知り、新規事業でシカ対策の研究を始めた。電車とシカの接触が多い地点でその生態を観察したり、鉄分を配合したブロック状の塊をシカに与える実験を行うなどした結果、シカは鉄分を補うためにレールをなめにくるという結論に達した。
 成果を踏まえ、同社は鉄分と塩分を混ぜた誘鹿(ゆうろく)材「ユクル」を商品化。JR東海やJR西日本などが導入し、「シカとの衝突を減らす効果を上げている」(同社鉄道商品営業室)という。

 今年ならではの背景として、シカの主食の一つであるどんぐりの凶作が影響した可能性も指摘されている。京都府が丹波地域と丹後地域でブナ科のどんぐりのつき具合を調べたところ、今年は凶作だった。ツキノワグマが人里で目撃される事例も増えており、府農村振興課は「推測だが、秋になってシカの衝突事故が増えたのであれば、同じ理由かもしれない」としている。

「鹿踏切」を設置

シカと電車との衝突事故が多発する津市の近鉄大阪線で、超音波を流して線路への進入を防ぐ「鹿踏切」を設置した結果、事故がゼロに抑制されたことが16日、分かった。予想以上の効果に、近鉄は来年3月に奈良県内の路線でも設置を行う方針。また、他の鉄道会社からの問い合わせが殺到し、試験設置を始める会社も出るなど、導入の動きも広がっているという。

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「鹿踏切」が設けられたのは、津市の山間部にある近鉄東青山駅周辺。線路がシカの生息域を横切っており、昨年は過去最多の17件の衝突事故が発生した。

近鉄は今年5月、周囲1キロにわたり線路脇にネットを張った上で、5カ所に隙間をつくり、シカの活動が活発な午前5~6時と午後6~12時の間に、シカの嫌がる超音波を流して横断しないようにする「鹿踏切」を導入。その結果、設置7カ月で衝突事故はゼロに抑えられたという。
 絶大な効果に、近鉄は来年3月、奈良県の榛原-室生口大野駅間にも同様の踏切を導入する方針で、すでに今年10月に監視カメラを設置し、シカの行動分析を始めている。
 また、年間十件以上の事故が起きている17カ所にも順次検討していくという。

一方、近鉄には、設置の5月以降、他の鉄道会社や自治体、大学関係者などから問い合わせが相次ぎ、実際に伊豆急行(静岡県)が11月から試験的に設置するなど広がりもみられる。
 近鉄の担当者は「効果が実証された形。今後拡大設置し、運行への影響が出ないようにしていきたい」と話している。

多発するシカやイノシシなどの動物と電車との衝突事故は、電鉄会社にとって深刻な問題となっている。
 近鉄では昨年、シカなどの動物と電車が衝突する事故が過去最多の313件発生。部分運休や代替車両の手配などを余儀なくされるケースもあるといい、損害は年間数千万円に上るとみられている。

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